全国視聴覚教育連盟

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視聴覚教育時報 平成20年3月号(通巻635号)index

◆情報が留まるということ/坂井知志

◆第2回教育メディア研修会 茨城県教育メディア担当者研修会開催−メディア関係者が集う−

◆【特集】個人貸し出しに関する要望は今後の課題へ−継続的な協議を進める−

◆平成18年度「教育メディア利用推進に関する調査研究事業」報告書6 「学校と連携した郷土教材製作について」(岡山県井原市立視聴覚ライブラリー)

◆えすけーぷ

◆情報が留まるということ/坂井 知志(常磐大学大学院教授)

 私は今、自分で実現したいことがいくつかある。それは自分の中では一筋の道であるが、見かけは全く異なる。一つは、日本の手仕事や日本人が大切に想う風景、風習などを撮影した貴重な映像を残すことである。さらに、今の日本も撮影し教育などに活用しやすくすることである。私一人でどんなにがんばってもたかが知れている。そのため、デジタル・アーキビスト養成は重要なことと考えている。それと同じように病院などに入院している人々や少年院で過ごしている人々、開発途上国の学校で教科書やノートもなく学習している人々への教育支援も私には同じ道筋である。何故、同じ道なのか。それは、情報を必要としている人に情報が届いていないことが許せないという感情が原因であるような気がする。現在、一番気にしていることは著作権の問題である。
 著作権を守りデジタル・アーカイブを作成することは完全に不可能なことというレベルでの議論が進んでいる。その代表的なことが部品としての著作権処理である。映像に写りこんだ人が絞めているネクタイのキャラクターの権利処理をすべきであるという議論まである。このことを認めると、私たちは盆踊りなどの音楽ばかりでなく踊り手の着物の権利処理をしてから教材を作成しなければいけなくなる。それは不可能である。
 私のフィールドの一つであるミンダナオ島には、バジャウという海洋漂泊民族が存在する。様々な差別を受け、一般的な職業に就くことは極めて困難である。ゴミを拾うか物乞いをすることが積極的な親の役割という状況がそこにある。その地で日本のNGOが識字教育を継続的に実施している。その取り組みを大学の授業教材としようとすれば権利処理が必要である。子どもたちの書いた絵は貴重な教材であるが、これも立派な著作物である。教材とするためには、本人と保護者の了解を得なければならない。それは不可能である。  著作権を守ることの意義を納得した上で著作権教育に取り組める時代は来るのか?

◆第2回教育メディア研修会 茨城県教育メディア担当者研修会開催−メディア関係者が集う−

 去る2月17日(日)茨城県視聴覚教育振興会・全国視聴覚教育連盟・茨城県立図書館の共催により県内各地から大勢の視聴覚教育関係者の参加を得て、第2回教育メディア担当者研修会が開催されました。
 今回の教育メディア担当者研修会は、重厚な雰囲気を持つ元茨城県議会場を活用した茨城県立図書館視聴覚ホールで行われました。
 開会式は吉川刀夫茨城県視聴覚教育振興会長、岡部守男全国視聴覚教育連盟事務局長及び千葉正仁茨城県立図書館長より、主催者挨拶が述べられました。
 また、来賓として出席頂いた茨城県教育庁渡辺洋子生涯学習課長(代理)より祝辞を頂きました。
 研修会は、第1回教育メディア研修会同様「これからのライブラリー活動〈地域におけるメディア利用促進〉」と題し、松田實全視連専門委員長の講話があり、続いて自作視聴覚教材の発表が行われました。
 今回の茨城県教育メディア担当者研修会の特色は、型どおりの研修会とせず、茨城県らしい企画運営や研修内容に見られました。
 そのひとつは、今回の研修会を企画し運営するにあたり、茨城県視聴覚教育振興会の方々の主体的な活動が行われ、また県教育委員会生涯学習課や図書館との連携協力体制の確かさを目の当たりに見ることができました。このことは、これから教育メディア研修会を企画実施する加盟団体や地方自治体にとっては非常に参考になるように思われました。
 ふたつめは、地域視聴覚教材の発表であり、県内のコンクールで受賞された方々が、その作品3点を持ち寄り、発表するという企画でしょう。
 今回発表された作品は、森のおはなし会(代表高瀬ヒロ子氏)のペープサート「たべられたやまんば」で、はるばる持参してきた大がかりなペープサート用の舞台がステージ一杯に作られ、会員の方々により熱心に演じられました。続いては、茨城県新治村が土浦市に合併する機会に新治村五十年の歴史を描いたDVDで、ラストシーンで合併は終わりではなく新たな新治の出発であると訴える土浦ビデオサロン(代表蛭田貢氏)の作品、日立視聴覚教育推進委員会教材制作部(代表清水啓志氏)のDVD「ふるさと十王」で、合併を機にふるさと十王を再認識してもらうと共に日立市民に新たに加わる十王について情報発信する作品で、やはり地域映像教材として感銘を与えていました。
 これらの作品発表にあたり実際に制作に当たった方々のコメントを交えながら、講師として茨城県芸術祭小型映画・ビデオ部門審査委員長である豊田正夫氏が作品に関してわかりやすく解説講評を加えて頂きました。
 地域の自作視聴覚教材は、制作活動を通じて地域の再確認そして活性化にもつながる原動力となるように感じました。
 今回の研修会の中心となったのは、第1回の教育メディア研修会同様、著作権問題をわかりやすく話して頂く坂井知志先生(常磐大学大学院教授)の講演で、今回は「情報メディアと著作権の問題」と題してお話しいただきました。
 フィリピンから研修会に合わせて急遽帰国された坂井先生はフィリピンでのエピソードを交えながら、なぜ著作権が注目されているのか、学校教育や社会教育での著作権上の問題等を指摘されました。
 今後著作物を利用する際の注意点やポイント、特にインターネット配信を想定した著作権処理等についてお話しいただき、とくに地元大学の坂井先生だけに参加会員も親しげにかつ熱心に傾聴していました。
 本年度の地域での教育メディア研修会は終了しましたが、二十年度はさらに各地でそれぞれの特色を生かした研修会が開催されることを願っています。

◆【特集】個人貸し出しに関する要望は今後の課題へ−継続的な協議を進める−

 平成19年10月25日(NO.630)で、松田専門委員長の『提言―視聴覚センター・ライブラリーの貸し出し業務―「団体貸出・個人貸出」慣行条件の再考』を掲載し、社団法人映像文化製作者連盟と接渉をしてきた。内容としては、生涯学習の今日的状況や、メディア環境の変化を考えた時、団体に限定するばかりでなく個人としての学習機会にも貸し出せる、つまり個人貸し出しをも含めることが必要であり、現実的には無断で個人貸し出しが行われている実態もないわけではなく、公的な機関である視聴覚ライブラリーとして、著作権者側との合意のもとに、個人貸出できるようにしたいと考え、個人貸し出しについて次のような要望書を権利者団体である映像文化製作者連盟に提出致しました。
 これに対して2月27日付で社団法人映像文化製作者連盟視聴覚教材委員会前山博志委員長名で中間回答書が出されました。
 以下に、要望書と中間報告書の概略を記載します。

1. 全国視聴覚教育連盟要望書

映像教材の団体貸し出し・個人貸し出しに関する要望
 地方における研修会での質疑や事務局への問い合わせで多いのは、視聴覚センター・ライブラリーの所有する市販録画教材や映画教材の貸し出しの条件の問題であります。
 つまり、視聴覚センター・ライブラリーの貸し出しはなぜ「団体貸し出し」なのか「個人貸し出し」を認めないのはなぜか?という疑問であります。
 16ミリ映画教材が主力であった時代とは、メディア利用環境は大きく変わり、現在では、録画教材(ビデオテープ・DVD等)が主力となっております。
 さらに、主たる貸し出しを社会教育対象としているが、社会教育のあり様も大きく変化し、生涯学習として集団・個人を問わず学習の内容も形態や方法も多様化しているのは誰もが認める所であります。
 このような録画教材(ビデオテープ・DVD等)主力のメディア環境の進捗や、教育の多様化に対して、視聴覚センター・ライブラリーは社会教育施設での組織的計画的集団利用への貸し出しをメインにしている状況では、多様化した教育ニーズに対応できなくなっていると言えます。
 個人貸し出しを求める利用者の声に対して、覚書協定書作成当時の慣行を忠実に守り続け、視聴覚センター・ライブラリーは団体貸し出しを行う施設といい続ける全視連加盟団体は、メディア利用や進捗及び教育の多様化の中でむしろ自縄自縛の状況にあると考えております。
 もし著作権者側が貸し出し対象について、今日の教育状況に鑑み、柔軟な対応をご理解頂けるならば、利用者として歓迎すべき事柄であり、利用者の身内同士での ”認めない認めるべきだ“という議論に終止符を打つことができます。
 今後、視聴覚センター・ライブラリー機能を持つ施設が、パッケージ化した映像教材(例 : ビデオ教材等)を購入して貸し出し業務を行う場合には、法に示されている補償金を支払って購入した教材に関しては「教育目的」での利用であることが明確ならば、団体貸し出しに加えて、個人学習に際しても貸し出しを認めていただきたい。
 この事により、映像メディア利用の多様化が進み、視聴覚センター・ライブラリーの貸し出し数が増加して、教材購入費の増加につながれば、それは著作権者の権利や利益を守る事になるでしょう。現状のまま団体貸し出しに拘っていても利用低下が進んでいる状況の改善は望めないのは明白であります。
 ここで要請する事は、法に定められた事項や覚書・協定書の見直しを要望するものではなく、補償金を支払って購入した映像メディア(主としてビデオ教材等)の貸し出し対象の見直しである事を申し添えます。
 覚書・協定書を作成した利用者側団体代表として、下記のような要望事項について、著作権者団体として了解をいただきたくお願いいたします。
     記
1. 要望事項  
 録画教材(ビデオテープ・DVD教材等)がメインとなったメディア環境の変化及び教育の多様化に対応するために、覚書・協定書に基づき補償金を支払って購入した映像教材に関しては、従来の社会教育における集団的利用への貸し出し(団体貸し出し)に加え、「教育目的」であることを条件に、主として録画教材(ビデオテープ教材、DVD教材)の貸し出しを、生涯学習の一環として行われる個人学習等への貸し出し(個人貸し出し)も認める。
2. 具体的事項
 @、主として録画教材(映画フィルムに関しては各購入視聴覚センター・ライブラリーの規約に基づく)については、生涯学習として行われる個人的な学習についても貸し出しを認める。
 A、個人学習への貸し出しを行う映像教材は覚書・協定書に基づき補償金を支払った教材で、教育目的に利用されることを条件として、生涯学習の一環として行われる個人学習等で活用されることを前提とする。
 B、@Aに関して、視聴覚センター・ライブラリーの貸与規定あるいは内規等において明文化して行うこととする。


2. 社団法人映像文化製作者連盟回答書

映像教材の個人貸し出しに関する要望について(中間回答)
 昨年12月に貴連盟より要望のありました視聴覚センター・ライブラリーの貸し出しについて、貸し出し対象を覚書・協定書に基づき保証金を支払って購入してきた映画教材に関して、従来の団体貸し出しに加え、個人貸し出しも認めてほしいとの件について、当連盟の視聴覚教材委員会では、1月から2月にかけて映像教材製作を行う会員社に呼びかけ検討を重ねてきました。以下、会員各社の意見をもとに要望についての中間的な回答をさせていただきます。
1)視聴覚センター・ライブラリーへの販売状況について
 会員各社の映像教材の販売状況はライブラリーを含めた団体向けと学校向け、或いは個人向けを販売しているなど、2段階方式をとっている会社が多く、販売価格もライブラリー価格と学校や一般価格に差をつけている会社もあれば、同一価格で設定いる会社もあり様々です。したがって、会社によってライブラリーほか教育市場に依存する比率は異なり、価格の設定も違うため、対応を一つにまとめるのは難しい状況です。
 しかし、一様に言えるのは、視聴覚ライブラリーに対しては「売り上げは見込めない」「注文はなく、図書館の売上げが主になっている」「年々、注文数は減少している」など、視聴覚ライブラリー向けの売上げの減少を指摘する声が数多くありました。
2)個人貸し出しが可能になった場合の懸念
 現状では、販売時に全商品に対してコピーガードをかけている会社もあれば、コストがかかるため、依然としてコピーガードをかけていない会社もあります。昨今のDVDの普及など、デジタル技術の進化は高画質の複写を容易にするという状況も生まれており、会員社からは個人貸し出しを認めると、DVD教材などは「高画質のものをそっくりそのまま抜き取られてしまう恐れがある」「一般家庭に入ると複製・加工の可能性もでてくる」など心配する声が上がりました。というのも、学校などに納入したサーバーのメンテナンスに行くと、映像素材が無断でコピーされ蓄積されていた事例や貸し出した教材に明らかにコピーした形跡があったなど、学校の先生方の著作権に対する認識の乏しさにしばしば直面するからです。個人貸し出し云々を言う前に「裏づけとなる複製禁止に関する法制化(罰則を定める)に取り組む」とか、「利用者に複製禁止の意味を(特に模範となるべき学校の先生方に)徹底して植え付け、意識改革を図る=周知徹底の為の教育・広報活動をする」などの努力をすることが必要ではないでしょうか?
 また、これから発売される教材にはコピーガードをかけて複写を防止することはできても、今まで販売した教材をどう扱うかは大きな問題です。貴連盟のご提案には「16ミリ映画・フィルムは各々ライブラリーの規約に基づいて処理」と書いてありましたが、文部省が単元学習毎の教材指定製作を行った時代に遡れば、ストックされた教材はかなりな量にのぼります。さらに文科省の選定制度下でのストック等も存在します。それらは一体どのような扱いになるのか、会員社にとって大きな関心事であります。
 尚、これに対しては、各視聴覚ライブラリーに保有リストを作成してもらい、作品毎に個人貸し出しの許諾を与えてはどうかという意見も出ています。
3)視聴覚ライブラリーへの疑問
 『提言』の中に「頭打ち状況にある視聴覚ライブラリーの利用の多様化が進み、貸し出し数の増加につながれば…」とありましたが、要望書どおりに個人貸し出しを許可して、果たして視聴覚ライブラリーの利用頻度が増える見込みはあるのでしょうか?「個人貸し出しを論ずるより以前に、視聴覚ライブラリーを存続させ、社会のニーズに応えられる存在にするために先ずせねばならないことがあるのではないだろうか」という意見もあり、当連盟の会員社からは、視聴覚センター・ライブラリー存在そのものに対していくつかの疑念の声があがっています。以下、質問事項を列記いたしますので、まず全視連の現状をご説明願いたいと存じます。
@視聴覚ライブラリーはどういう状況になっているのか?
(利用率、保管状況、デジタル化の数等)
A無許諾でテレシネやダビング(複製行為)が行われているのではないか?
Bライブラリーによっては、既に個人貸し出しをしている所もあるのではないか?
C市町村合併など統合により所蔵作品はどのような扱いになっているのか?
D視聴覚ライブラリー本来の設立主旨は、現状どのように果たされているのか?
 今回のご要望は映像製作を行う当連盟会員社にとっても様々な問題を考えるよいきっかけとなりました。これを機に個人貸し出しの許可等によって想定しうる問題点を確認しあい、今後どうしていったらよいのか、映像教材を製作している側と、視聴覚ライブラリーを支える全視連がともに真剣に考えて答えを出していければ幸いだと思っております。

 以上のような要望に対して中間回答書が寄せられたわけですが、2月27日、日本視聴覚教育協会会議室において社団法人映像文化製作者連盟視聴覚教材委員会前山博志委員長他関係委員および事務局等5名と全視連専門委員長及び事務局長・次長合わせ3名が個人貸し出し問題について話し合いを行いました。
 話し合いは、視聴覚教材委員会前山委員長より中間回答書の内容について視聴覚センター・ライブラリーへの販売状況の低下、個人貸し出しを可能にした場合の課題についての説明がなされました。
 また中間回答3)で取り上げている視聴覚ライブラリーに関する疑問について話し合われました。
 疑問としてあげられた事項については、全視連側から次のように説明がされました。
@視聴覚ライブラリーの行政組織上の傾向としては、大きく図書館系、生涯学習施設系(公民館・センター等)教育委員会系、独立組織系、その他に分けることができる。
  視聴覚ライブラリーとしての利用状況は毎年(財)日本視聴覚教育協会と一緒に行っている調査結果から見ると次第に減少傾向にあることは否めない。
  単位ライブラリーの教材保有状況も前述の調査から16ミリ映画教材は減少の一途にあり、多くはビデオ関係教材に移行している状況で、近年はさらにDVD教材への移行が始まっている。
Aテレシネ使用はほとんど無いと思われる。
B無断複製は残念ながら行われている可能性はある。
C個人貸出の無断実施については、すでに行っているライブラリーがあることは否定できない。
D正確な教材移動情報は持たないが、移動先が図書館等の場合、ライブラリー所有教材については団体貸し出し用として別扱いするようにアドバイスしている。
E本来、ライブラリーの事業は市販教材の貸し出しだけでなく、地域映像教材の自作や蓄積貸出、教育メディアに関する研修や講習等があり、広い視野に立つと他のメディア施設(例 : 図書館等)では行っていない事業が主たる目的であるが、国等のライブラリーに関する施策や支援がなくなって以来事業の縮小や組織自体の解体、他組織への組み込み等が行われ存在感が薄くなっているところも出てきている。等の説明がなされました。
 視聴覚ライブラリーの存在価値そのものに疑問が投げかけられた中間回答書ですが、自浄努力の意味も込めて、視聴覚ライブラリーの今後の在り方を改めて考え直す機会とし、その一環として個人貸出問題について、今後も話し合いを継続していくことを確認しました。

◆平成18年度「教育メディア利用推進に関する調査研究事業」報告書6 「学校と連携した郷土教材製作について」(岡山県井原市立視聴覚ライブラリー)

◆事例調査研究委員のコメント
 「マルチメディア郷土教材制作委員会」を設置し、市内各小学校の教員と一緒に小学校中学年の地域学習用補助教材として、地域に即したパソコンソフト教材を毎年制作している。教材の制作は、授業での学習効果を高めるのはもとより、制作にあたる委員(教員)の技能をも高めることにもなり、一石二鳥の効果をもたらしている。地域におけるライブラリーと学校との連携の好例として、大いに参考となるものである。(中村委員)

表題  学校と連携した郷土教材制作について
岡山県井原市立視聴覚ライブラリー
平成18年度の総予算額:14,885,000円
うち本実践に関わる予算額:0円
0. 実践の概要
 井原市立視聴覚ライブラリーでは、1980年頃から、井原市内の小学校と連携して郷土学習ビデオを制作し、学校現場へ提供してきた。
 1997年度からは、情報化の進展や学校からの要望等から、パソコンソフト教材の制作へと方向を転換し、「マルチメディア郷土教材制作委員会」を設置し、毎年、パソコンソフト教材を制作している。
 視聴覚ライブラリーは、生涯学習施設「アクティブライフ井原」内に井原市中央公民館とともに併設されており、教材制作委員会の活動は、「アクティブライフ井原」のコンピュータ学習室とスタジオを主な拠点としている。市内各小学校からの委員と事務局職員が1ヶ月に1回程度集まり、ソフトの開発、開発のための研修を行っている。
1. 実践のねらい
 マルチメディア郷土教材制作委員会は次の3つのねらいに沿って活動している。
・井原市の地域に即した教材ソフト等を開発する事により、学習への効果を高める。
・教材ソフトを開発する過程において、教師が視聴覚機器に対する理解を深め教育における視聴覚機器の活用を促進する。
・各小学校区間で連携して井原市の郷土教材に関する資料等の情報収集を行い、データを蓄積する。
2. 実践内容
 パソコンソフト教材の内容は、小学校中学年の地域学習の補助教材として活用することができるように制作したものである。
 社会科等の学習では、地域に出かけての活動をすることが望ましいが、実際の見学や観察が難しかったり、見学後のふり返りや確かめができにくかったりすることもある。
 教材は、簡単な操作で使用でき、画像、文字、音声などを手がかりに調べたり、確かめたりできるように構成し、子どもたちが意欲的に学習に取り組めるように工夫している。
3. 考察及び今後の課題
 制作した教材は、各学校の授業で使用され、学習効果を高めることに役立っている。また、教材制作をとおして、委員の先生方の情報処理に関する技能が高まっており、研修が、情報交換の場ともなっている。
 これまで教材制作委員会は、毎年約10ヶ月ほどの期間で活動をし、教材を制作してきたが、委員の先生にはたいへん多忙な中で制作に取り組んでいただいている。教材内容の充実という視点からも、もう少し長い期間で余裕を持っての制作も考えていきたい。
 また、教材の制作は具体的な活用場面を想定して行っているが、より活用しやすい教材にするために、現場からの意見をもとに工夫していくことが必要である。

教材の題名とその制作年度
題 名(パソコン教材)
制作年度
私たちの井原市
1997年度
井原市の施設を探検しよう
1998年度
私たちの井原線
1999年度
小田川の生物
2000年度
レッツリサイクル
2001年度
青野のぶどう作り
2002年度
命とくらしをささえる水
2003年度
わたしのまちのおまわりさん
2004年度
わたしたちの新井原市
2005年度
消防署のしごと
2006年度

◆えすけーぷ

◇桜の花のほころぶ今日この頃、視聴覚ライブラリーの廃止や組織改編を心配する反面、ネット等を通じて元気に活動している様子を垣間見るとほっとします。
◇最近各地で映画上映ボランティアやNPO等が開催する映画会が好評で、大勢の観客が詰めかけるという情報も入ってきています。薄っぺらな映像が多い中で、優れた映画は、やはり人々の心を捉えるのでしょう。
◇貸出の元祖ある市の視聴覚ライブラリーHPに映画ビデオの貸出しを行うので希望者は規定の借用申込書に団体名住所氏名と希望する題名を記入の上、**まで提出し、貸出許可を得たら**まで取りに云々と書かれてありました。間違いではありませんが、さてと考えてしまいます。
◇info@zenshi.jpのなりすましメールが流れています。どうぞご注意を!

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