全国視聴覚教育連盟

お問い合わせ先

    全国視聴覚教育連盟事務局

    〒105-0001
    東京都港区虎ノ門1-19-5
    虎ノ門1丁目森ビルB1
    (財)日本視聴覚教育協会内

    所在地(地図)

    TEL 03-3591-2186
    FAX 03-3597-0564

    就業時間 9:30〜17:30
    就業曜日 月曜日〜金曜日
          (祝祭・日は休み)

視聴覚教育時報 平成21年3月号(通巻647号)index

◆私のことば 視聴覚・放送教育合同全国大会へのお誘い/牛嶋 早苗(平成21年度第13回 視聴覚教育総合全国大会・第60回放送教育研究会全国大会合同大会(愛知大会)事務局長)

◆調査研究報告 視聴覚センター・ライブラリーにおける研修及び講習に関する調査 (3) ― 求められる終了者活用策 ―

◆第9回インターネット活用教育実践コンクール kodomo2.0(佐賀県)〈社会教育部門〉が内閣総理大臣賞受賞

◆平成19年度「教育メディア利用推進に関する調査研究事業」報告書8 「21世紀のデジタルプロジェクト」(千葉県船橋市視聴覚センター)後編

◆私のことば 視聴覚・放送教育合同全国大会へのお誘い/牛嶋 早苗(平成21年度第13回 視聴覚教育総合全国大会・第60回放送教育研究会全国大会合同大会(愛知大会)事務局長)

 私が愛知県職員として社会人一年生を歩み始めた当時、職場での計算は卓上電子計算機が主流で、最早そろばん派はごく少数であった。電卓といってもコード付きであり、コンセントの蛸足ぶりはすさまじかった。
 その後、乾電池式の電卓が登場し、やがてソーラー電卓へと姿を変えたが、初期の物はソーラー部分に俯いた頭で影ができると、数字の色が薄くなり消えてしまうこともあった。
 電卓の進化とともに、タイプライターも進化していった。当初は文書の浄書はすべてタイピストに依頼していたが、操作の簡単な電動タイプライターが出現し、しかもそこからワープロが配置されるまでには、さほど年数はかからなかった。1985年に最初のワープロが職場にやってくると、新し物好きな私は誰よりも先にワープロに触り、字の下手な私の強い見方であると確信した。
 仕事でパソコンが必要となり、最初に利用したのは93年である。エクセルで一瞬にして計算やグラフが描けたりするのには感激した。就職からパソコンにたどり着くまでに10数年を要し、私も40歳近くになっていたが、これは同世代の中で先駆者ではないにしろ、決して遅い方でもなかったと思う。
 ところが教育界では、いつの間にかパソコンなどICTを利用し授業を行う時代が到来している。先生、特に私と同世代以上の先生にとって、これは一大事と心底同情している。
 そこで本題である。本年10月、愛知県で開催される視聴覚・放送教育合同全国大会のPRをさせていただきたい。27日は豊橋・岡崎・豊田市の保育園・小・中・高校の計7校においてICT関連授業を公開する。また社会教育施設としては、昨年11月に開館したばかりの岡崎市図書館交流プラザが会場となる。翌28日は、岡崎市において全体会と校種別分科会を開催する。参加者の誰もが新しい時代のヒントを得られる全国大会となるよう、そして教師にとっては授業力アップに直結する全国大会を目指し準備を進めている。
 みなさま、是非ご参加ください。

 

◆ 調査研究報告 視聴覚センター・ライブラリーにおける研修及び講習に関する調査 (3) ― 求められる終了者活用策 ―

 3回にわたって、視聴覚センター・ライブラリーにおける研修及び講習に関する調査結果について、1月号で調査結果の概要、2月号で研修及び講習の分析考察、そして本号ではメディア研修終了者に関する分析と考察について取り上げてみました。
 視聴覚センター・ライブラリーが実施したメディア研修や講習終了者の方々が、視聴覚センター・ライブラリーの行うメディア関係の事業や、地域のメディア関係活動にどのように役立っているか、あるいは役立てようとしているかという成果の活用という問題が浮かび上がってきます。
 このことは、メディア研修や講習の企画や内容の立案に当たって、研修や講習の成果を地域やメディア関係施設等で役立ててもらうことまでを見通した発想に立つ必要があると思います。
 研修や講習を行えばそれで終わりというものではないように考えます。

 次の表1は、メディア研修や講習を実施している場合、何らかの形で研修終了者の活用を行っているかどうかをまとめたものです。
 メディア研修を行っている166施設のうち、3分の1強の59施設(35.5%)が、活用策を行っているという回答を寄せています。

 その数を各地方別にみたのが次の表2地方別研修終了者活用策実施傾向です。



 東北・中部・近畿・中国の各地方が平均を上回っており、北海道・関東・四国・九州は、いずれも平均を下回っている。
 はっきりとした地域差が出る結果となったが、これが何に起因するのかは今後の調査結果をまたなければならないが、対象エリア人口が比較的小規模と類推される東北地方の割合が平均より高いことなどを考慮すると、対象エリア人口との相関関係はほとんど見られないと言ってよい。
 参考までに、都道府県別の結果もまとめていますが、全視連のサイトをご覧ください。

 ちなみにいくつかの研修終了者活用の具体例をあげておきます。
・ビデオ撮影時の補助などの協力。自作教材発表会での発表。
・研修や講習終了後にボランティア登録をお願いし、講習会等のサポート。
・講習会終了者に対する教材の利用促進、地域における視聴覚教育の振興を図っている。
・16ミリ映写機操作講習会終了者は希望で映像ボランティアに加入、映写会のサポート。高齢者パソコン講習会終了者は希望でパソコンボランティアに加入、ボランティア活動を行う。
・自主サークルに加入、市行事の撮影活動に協力。自主映像コンクールを開催。
・講師を育成する。市内のビデオクラブへの指導。市事業等の撮影依頼により派遣。

 メディア研修や講習終了者について、今後の方向について、どのように考えているか回答を頂いた結果が次の表3で、イの「活用策の検討は必要だと認識しているがまだ検討を行っていない。」が最も多く、63%を占めている。アの「活用策は必要だと考え検討している。」を含めると、7割以上の施設が、何らかの活用策が必要だと考えていることになります。

注 : 回答に自由記述があるものは、実際には活用策に類似した策を行なっているとみなし、新たに「オ、活用類似策」の選択肢を追加しました。

◆第9回インターネット活用教育実践コンクール kodomo2.0(佐賀県)〈社会教育部門〉が内閣総理大臣賞受賞

 文部科学省・インターネット活用教育実践コンクール実行委員会主催、総務省・経済産業省・朝日新聞社後援による第9回インターネット活用教育実践コンクールは、「地域社会や学校などの教育におけるさまざまな活動の中で、インターネットを有効に活用している優れた実践事例を表彰し、全国に広く紹介することにより、教育の情報化の推進を図ること」を目的とするものです。

 本年度は、学校教育部門104件、社会教育部門24件の合計128件の応募がありました。
 第1次書面審査、第2次ビデオ審査を経て、平成21年2月6日審査委員会において各賞が決定しました。
 各賞の内訳は次のようになっています。内閣総理大臣賞1件、文部科学大臣賞2件、総務大臣賞1件、経済産業大臣賞1件、朝日新聞社賞1件、優秀賞2件、特賞2件、また、今後のインターネット活用を奨励する事例として、5件が実践奨励賞となっています。

 表彰式は、3月13日(金)午前10時30分から、東海大学校友会館(東京都千代田区霞が関3-2-5霞が関ビル33階)において行われました。
 社会教育部門では、Kodomo2.0(佐賀県)の「佐賀県民の情報モラル育成のための産官学民連携による地域的教育実践」が内閣総理大臣賞に輝きました。
 その他、文部科学大臣賞に、神戸防災楽習連携促進協議会(神戸市)の「神戸発 わが家の防災学習―ジュニアチームが拓く学びのネットワーク―」、実践奨励賞に慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 有澤研究室 クラゲラボ(神奈川県)の「携帯端末を利用した水族館における新しい学習環境の提案」が受賞されました。
 詳しい実践内容についてはは、http://www.netcon.gr.jp/をご覧ください。
 ここでは内閣総理大臣賞を受賞したKodomo2.0(佐賀県)の実践内容を紹介致します。

■内閣総理大臣賞
●社会教育部門

Kodomo2.0(佐賀県)
「佐賀県民の情報モラル育成のための産官学民連携による地域的教育実践」

1. 実践のねらい・目的
 佐賀大学関係者や県内情報関連事業者をはじめ、社会教育や学校教育の分野で情報教育に携わってきた者たちが、これまでに蓄積した知識や技術力を結集させたチームを組み、佐賀県におけるデジタルデバイトの解消と安全・安心なネット社会の実現を目指して、成人はもちろん、小・中・高校生や高齢者を含めた、あらゆる年代を対象とした情報教育や情報モラル学習のサポート・情報化に関する啓発活動を行っている。

2. 実践内容(抜粋)
・ネットの安全安心ポスターコンクール事業
・PTA・CSO支援組織とのコラボレーションによる家庭教育学級のインターネット配信事業
・子どもとおとなが楽しみながら学習するドラマ教材の開発「Yokooh!劇場」
・携帯電話の有害コンテンツ擬似体験サイト開発
・パソコンの擬似有害コンテンツ体験サイト開発
・母子寡婦福祉連合会との連携による講座
・佐賀新聞との連携による啓発活動
・ネットトラブルに関する相談事業
・アンケート分析・調査研究事業


 以下、文部科学大臣賞、総務大臣賞、経済産業大臣賞、朝日新聞社賞はじめ各賞受賞活用実践の概要を紹介します。

■文部科学大臣賞
●学校教育部門

佐野市教育センター(栃木県)
「市内小中学校での統一したシステムによる学校Webサイトの運用」
 市内小中学校の学校Webサイトの活性化を目的として、システムを構築。学校からは職員の連携が深まったなどの声も聞かれ、保護者からも好評である。


●社会教育部門
神戸防災楽習連携促進協議会(神戸市)
「神戸発 わが家の防災学習―ジュニアチームが拓く学びのネットワーク―」
 阪神・淡路大震災を経験した人々が、インターネットを通じた防災に関する学びの場を立ち上げることにより、富山や他の地域防災力の向上を支援している。



■総務大臣賞
●学校教育部門

鳥取県立倉吉東高等学校高校生フォーラム実行委員会
「高校生による今日的課題へのプレゼンテーションコンテスト(『国際高校生フォーラムin倉吉』)―日韓英の高校連携と知への挑戦―」
 高校生自らが現代社会の諸問題に取り組み、解決策をプレゼンテーションし、競い、討論する。さらに、全国の仲間と交流し、生徒がより高いレベルの学びに向かう。


■経済産業大臣賞
●学校教育部門

愛知県岡崎市立井田小学校
「映像制作を通したメディアリテラシー・コミュニケーション能力の育成―『バーチャル模造紙』を活用して―」
 子ども自身に映像制作させ、批評活動をすることにより、メディアリテラシーを高めながら子どものコミュニケーション能力を向上させる。


■朝日新聞社賞
●学校教育部門

北海道八雲養護学校
「筋ジストロフィー児童生徒の自己効力感を高めるインターネットを活用した病弱特別支援学校の実践―学習・交流・就労―」
 インターネットの有効な利活用を促す環境づくりをすることにより、自己効力感の向上・自尊感情の高まりにつなげる。


■優秀賞
●学校教育部門

「児童がデジタル作品を交流できるWebページの開発と実践」三重県津市立栗真小学校
「携帯型デジタルオーディオプレーヤーを使った英語指導とオンライン教材配信」京都市立紫野高等学校


■特賞
●学校教育部門

「地域ミュージアムの情報システムを活用した学習の拡張
―芽室町立上美生中学校・とかち田園空間博物館・多摩美術大学の連携」ktmプロジェクト 〈北海道河西郡芽室町立上美生中学校・多摩美術大学(東京都)〉
「多摩川源流探し―歩数計着用とICTシステムの活用で生活リズムを整え、学力も向上させよう―」生涯にわたる生活リズム形成研究会(東京都)・東京都大田区立矢口小学校

■実践奨励賞
●学校教育部門

「地域社会を教材とした体験的な知的財産教育の実践」北海道紋別北高等学校
「心と心をつなげるヒューマンコミュニケーション―IT活用からICT(Information and Communication Technology)活用社会へ―」茨城県立鉾田第二高等学校・群馬県立尾瀬高等学校・三重県立みえ夢学園高等学校
「不登校・引きこもり傾向の強い生徒に対するeラーニングを活用した教科指導の実践」日本放送協会学園高等学校(東京都)
「高専―豊橋技科大間における遠隔制御体験実習プログラム」高専連携遠隔制御プロジェクト
●社会教育部門
「携帯端末を利用した水族館における新しい学習環境の提案」慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 有澤研究室 クラゲラボ(神奈川県)

◆平成19年度「教育メディア利用推進に関する調査研究事業」報告書8 「21世紀のデジタルプロジェクト」(千葉県船橋市視聴覚センター)後編

3. 心のケア「デジタル福祉  映像サービス」
 平成12年度に「21世紀に伝える映像プロジェクト」を推し進めた中で、市民から127名に及ぶ言葉が寄せられた。その中にビデオや写真を会場に来ることの出来ない高齢者に見せたいという意見があった。また、事業の中で設置したパソコン画面やテレビモニターを使った鑑賞システムが体の不自由な方々に好評であった。
 ここから、寝たきりや歩行困難な人たちにも鑑賞できるようにと機器の整備及びソフトの充実を図り、高齢者福祉施設などでも企画展やビデオ鑑賞が楽しめるサービス「デジタル福祉映像サービス」がスタートした。(表2)
 当時、各自治体においてもこのような高齢者福祉の施策は聞かず、全国初の試みと思う。






4. 「21世紀のデジタルプロジェクト」の事業効果は次のとおりである。
(1) デジタル技術により写真・映像の修復保存が容易になった。
(2) 資料を圧縮保存することによって整理や検索が容易になった。
(3) 送信技術の進歩からデジタルデータを迅速に送ることが出来るようになった。
(4) 庁内・報道関係・市民から使用の依頼があった場合、迅速な検索と使用目的に合ったデータの提供が出来るようになった。
(5) 出版物への活用や企画展示物作成が容易になった。
(6) 風化や廃棄前の資料を掘り起こし後世に残すことが出来た。その数は1万点を超える。(平成20年1月末現在)
(7) 平成12年度のスタートから19年度まで、企画展に関するマスコミ報道は延べ102社となり、市民からの声も635件に及ぶ。

船橋市制施行70周年を記念して開催された企画展
「ふなばし写真伝承 明治・大正・昭和の残映」




船橋市制施行70周年記念企画展
「船橋うららかな眺め 安間嗣郎写真展」


5. 終わりに
 いま、我々の暮らしにコンピュータやデジタル機器は切り離すことが出来ない環境となってしまった。その結果、デジタル機能を駆使した犯罪や子供の情操に与える影響を危ぶむ声もある。さらに、重要な情報の流出から起こる事件は大きな社会問題となっている。
 「21世紀のデジタルプロジェクト」は、アナログとデジタルの融合を図りながら推し進めて来た。その理念は、デジタル技術が万能の手法では無く、先人が遺してくれた映像を写真を再び甦らせ、失われた風景や風土を市民共通の愛惜としながら後世に引き継ぐ事業としている。
 また、著作権者に対しては最大の配慮を忘れてはならない。一般の興味本位だけの貸出やインターネットなどの公開は控えている。公共性の高いものやマスコミ等の場合のみ貸し出す。その場合著作権者の名前を明記するようにしている。
 最後に、「心の豊かさを求める」事業の方向性を決して見失ってはならないことが担当者の引き継ぎ事項である。

メールマガジンバックナンバー

バックナンバーはこちらから

Copyright (C) 2009 National Association of Audio-Visual Techniques in Adult Education , All rights reserved.