全国視聴覚教育連盟

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視聴覚教育時報 平成25年4月号(通巻678号)index

◆大学の現場から思うこと/伊藤康志(弘前大学学務部長)

◆創立60周年を迎えた全視連 平成25年度事業計画案常任理事会で承認

◆全視連ビジョン策定委員会報告/吉川刀夫(全視連ビジョン策定委員会委員長)

◆平成24年度 全視連講師派遣事業事業実施報告/千葉県視聴覚ライブラリー連絡協議会

◆大学の現場から思うこと/伊藤康志(弘前大学学務部長)

 生涯学習行政から離れ大学に勤務するようになって5年目を終えた。大学の現場に入ってまず驚いたのは学生の学力の劣化だった。大学教員も大学1年生を中学7年生に擬えたり、理数系の科目でさえ暗記科目として学び発展的な問題はどこから手をつけていいかわからない、要は自分で考える力が殆どないと口を揃える。知的成長の基盤としての汎用的能力(ジェネリック・スキル)が育っていない。今、大学(選抜性の高い大学も含め)では手取り足取り参考文献の見つけ方やレポートの書き方を教えたり、ワークショップやPBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)などに取組、なんとか創造的思考力の育成を図ろうと躍起になっている。平成24年中教審大学分科会審議のまとめでも 「主体的に考える力を育成する大学へ」 として、大学における教育の質保証、一斉授業から能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換を強く求めているが、これは当然、高等教育段階だけの問題ではない。一方で義務から高校にかけての教育や学習の内実も問われており、このため 「習得・活用・探究」 の学習観や活用型学習への取組も始まっている。

 ではICTはこうした能力の育成にどれだけ貢献し得るだろうか。例えば児童・生徒全員がタブレット端末を持つことでそれは涵養されるのだろうか。全てがほぼ同一の経験・体感で、あらゆる情報やコンテンツが自分の中にとめどなく流れ込む、一見何でも 「わかってしまう」 という状況がどういうことなのか、立ち止まってみる必要はないだろうか。グーグルが私たちの情報行動や思考を一変させたように、教育にICTを取り入れることは、これまでの伝統的な思考様式や型を破壊することだと指摘する識者もいる。不効率だったり、時間がかかっても 「わからない」 ことが自分なりに「わかる」 こと、 「知らない」 ことを何とか 「知ろうとする」 こと、その過程や時間をもっと大切にしたい。ICTの教育活用を考えるとき、こうした視点を忘れずにいたいものだ。

◆創立60周年を迎えた全視連 平成25年度事業計画案常任理事会で承認

 4月22日、一般財団法人日本視聴覚教育協会会議室において第一回常任理事会が開催され、平成25度事業計画原案が承認され、文書理事会へ提案されることになりました。
 今号では、その概要を抜粋してお知らせします。

1. 基本方針について
 生涯学習の充実を図るために、情報化社会に対応した教育メディア環境の整備やその活用を推進することの社会的・教育的意義を再確認し、情報通信、放送等と融合した新たな教育メディア利用の普及に努める。
 そのため、各都道府県視聴覚教育連絡協議会等との連携協力体制を確立し、地域における教育メディア関連施設活動の活性化を支援する。

2. 現状と課題について
 全国視聴覚教育連盟(全視連)は、昭和28年8月創立以来、本年度で創立60周年を迎えた。その間、社会教育における視聴覚教育の推進と視聴覚センター・ライブラリー等の充実発展に努めてきた。地域社会におけるICT環境の整備が進み、メディア利用の多様化が定着し始めている。

 全視連は、「デジタル時代に対応したメディア利用」をキーワードに、従来の視聴覚メディアを大切にしつつ、ICTを活用した映像コンテンツ提供や学習機会の提供、教育メディア研修を推進し、時代に対応した視聴覚センター・ライブラリーの活性化支援を行う必要がある。

 そのためには、生涯学習社会において全視連が果たすべき役割を見極めつつ、加盟団体や社会教育関係団体、教育メディア関係団体との連携を密にした、時代に対応したICTの利用推進、地域の絆を育む視聴覚メディア利用の推進等を中核とした事業及び支援体制の強化等に取り組む必要がある。

 また全視連ビジョン策定委員会の提言に基づき、全視連創立60周年にあたる本年を事業改善の第1年度として、ICT利用やメディア研修の推進、映像コンテンツのデジタル化支援、組織間ネットワークの構築等を位置づけている。

 また、東日本大震災被災県市町村視聴覚センター・ライブラリーも含め、ICT時代にふさわしい視聴覚ライブラリー活動の支援を継続する。

 一方、「全国公立視聴覚センター連絡協議会」も、全視連との連携のもとに、ICT利用や映像コンテンツのデジタル化等、多様化したメディア利用や研究を推進する地域の研究・研修拠点としての視聴覚センター機能を発揮できる事業の推進が必要である。

3. 事業計画
(1)会議
@理事会

第1回文書理事会 5月上旬
・平成24年度事業報告書案、同収支決算報告書案、同会計監査の報告
・平成25年度事業計画書案、同収支予算書案等の審議・承認
第2回理事会 10月25日(金)(予定)
・平成25年度事業並び予算執行状況及び平成26年度重点事業概要の審議

A常任理事会
第1回常任理事会 平成25年4月22日(月)日本視聴覚教育協会会議室
・平成24年度事業報告書案、同収支決算書案の審議
・平成25年度事業計画書案、同収支予算書案の審議
第2回常任理事会 10月上旬
・平成25年度事業並び収支予算執行状況及び平成26年度重点事業概要の審議

B専門委員会
 ブロック別専門委員を委嘱し、主としてブロックの情報交流や拠点における研究・研修事業の推進。全国大会における全視連関係分科会での指導助言・運営・記録等の協力。

C加盟団体代表者・事務局長会議
 全視連の実質的な情報交流の場として、会議及び研修を行う。
・期日:平成25年10月25日(金)
・会場:旭川市大雪クリスタルホール
・各加盟団体間の情報交換及び協議、質疑応答
・研修:文科省担当者or学識経験者(予定)

D教育メディア利用推進会議(改)
 社会教育及び教育メディア関係団体との連携により、生涯学習における教育メディア利用を推進を図るための方策及び活動について協議する。
・構成団体:日本視聴覚教具連合会、民間放送教育協会、映像文化製作者連盟、日本図書館協会、日本視聴覚教育協会

E著作権処理のための協議会の開催(改)
 市販映像教材の著作権処理に関する、事務処理及び権利者との連絡調整のために協議会を開催する。

(2)実施事業 
@平成25年度視聴覚教育・放送教育合同全国大会の開催
 平成25年度視聴覚教育・放送教育合同全国大会を開催するに当たり、大会における生涯学習部門の充実を図り、“地域に根ざした市民のための生涯学習メディアの活用”及び“生涯学習機会の充実と映像メディアサービス”の2本柱で全視連分科会を行う。
・期日:平成25年10月25日(金)・26日(土)
・会場:旭川市大雪クリスタルホール
・テーマ別分科会:「地域に根ざした市民のための生涯学習メディアの活用」
・報告:札幌市などのICT活用団体(一部交渉中)
・全視連分科会:「生涯学習機会の充実と映像メディアサービス」
・発表:札幌市のボランティア団体、東北地区の生涯学習センター(一部交渉中)

A全国視聴覚教育連盟視聴覚教育功労者の表彰
 平成10年度より実施のこの表彰制度により、25年度は第16回表彰として実施する。表彰式は全国大会の中で行う。

B創立60周年記念特別研究プロジェクト
「メディア活用研修モデル事例調査/組織間ネットワークシステム構築」
 全視連創立60周年記念事業として、ICT社会に対応した生涯学習におけるメディア活用のための研修モデル事例集の作成配布及び、全視連加盟団体及び公立視聴覚センター等教育メディア関連組織間ネットワークシステムの構築。

Cブロック別メディア研修事業等の支援
 加盟団体間の交流機会や研修機会を充実させるため、各加盟団体が実施している研修事業等を支援する。また、被災県の視聴覚センター・ライブラリーが実施する研究会・研修会・コンクール等の支援。
・近畿ブロック研修会(予定)

D講師派遣事業の実施(拡充)
 各加盟団体が実施している研究会・研修会を一層有意義なものにするため、全視連が組織する“全視連指導協力者会議”の学識経験者の他、要請に応じて講師の派遣。

E調査研究事業(改)
・調査研究1:「社会教育における映像コンテンツのデジタル化支援」(委託調査研究)
・調査研究2:「SNSを活用した情報提供の実際(仮)」(委託調査研究)

F新教育映像利用に関する調 査研究事業
 生涯学習に役立つ市販映像教材として、どのような作品が必要か、利用者が求める市販映像教材についての調査研究を行う。

G全視連企画教材の頒布
 全視連がこれまで「子どもゆめ基金助成事業」において開発してきたDVD教材、実費で頒布してきた。
 平成25年度は「ボディスラップ おもしろリズムをつくろう!」(DVD教材)で、4月3日付けで内定通知を受けた。開発教材は全国の児童館・児童センター、視聴覚センター・ライブラリー、全視連加盟団体など3、000か所へ無料配布する。

(3)共催事業

@生涯学習メディア利用研究会(改)
 社会教育及び教育メディア関係団体等と連携し、生涯学習における教育メディア利用に関する研修・研究会を実施。

A全国自作視聴覚教材コンク ール
 (一財)日本視聴覚教育協会主催、全国視聴覚教育連盟、日本学校視聴覚教育連盟、全国高等学校メディア教育研究協議会の共催で実施。

B一般財団法人 日本視聴覚 教育協会事業への協力

(4)年間刊行物(WEB版を含む)
「全視連創立60周年記念研究集録 メディア活用研修モデル事例調査/組織間ネットワークシステム構築」(未定)
「全国公立視聴覚センター要覧」(日本視聴覚教育協会と共同製作)
「新教育映像に関する調査研究事業報告」(WEB版)
「調査研究1・2報告」(WEB版)
「公立視聴覚センター研究集録2013」(公立視聴覚センター連絡協議会)(WEB版)

(5)広報活動
「視聴覚教育時報」(隔月刊)の発行
「メールマガジン」の配信(月刊)
「ホームページ」(全視連だより)(ブログ全視連)の改善http://www.zenshi.jp/

(6)委託事業
全国公立視聴覚センター連絡協議会関係
 公立視聴覚センター並びに公立視聴覚センター相当の視聴覚ライブラリーで構成する全国公立視聴覚センター連絡協議会の総会及び研究協議を行う。
・平成25年度視聴覚教育・放送教育合同全国大会(平成25年10月25日・26日開催)
・公立視聴覚センター協議会総会の開催(平成25年10月25日開催)
・生涯学習メディア利用研究会  他

◆全視連ビジョン策定委員会報告/吉川刀夫(全視連ビジョン策定委員会委員長)

■はじめに―ビジョン策定の 背景と意義―
 社会及び教育におけるICT環境の整備が進み、インターネットをはじめ地上デジタル放送、情報端末等の飛躍的普及によるメディア利用の多様化が定着しています。

 このようなメディア環境の多様化と進化をふまえ、伝統的な視聴覚教育団体の域から抜け出せない全視連事業の改善と市民のメディアニーズに即した活動を意識した教育メディア利用推進支援団体としてのビジョン策定とその推進について検討を行ってまいりました。

 ビジョン策定に当たっては、全視連の現状を客観的に考察し、ICT社会における生涯学習に役立つための全視連組織体制及び事業活動、加盟団体の運営組織の在り方等を中心課題として慎重な協議を重ね、報告書を取りまとめました。

 また、提言作成に当たっては、多くの視聴覚教育関係施設及び関係者のご意見等を傾聴し、実現性のある提言を策定することに配慮しました。

 視聴覚センター・ライブラリー関係者、全視連事業に関わる現・元専門員各位より、貴重なご意見を頂戴したことに深くお礼申し上げるとともに、今回ビジョン策定委員として、報告書作成に積極的にご協力を頂いた専門委員各位にも深く感謝申し上げます。

■アンケート調査
 「全視連組織体制及び事業活動のこれからの在り方に関する検討事項」

調査の目的
 全国視聴覚教育連盟は、伸展するICT社会においてどのようなビジョンを持ち、その実現を図るための組織体制や事業展開について、加盟団体(各都道府県視聴覚ライブラリー連絡協議会等)等を対象にアンケート調査を行い、実現性のある将来像を策定する基礎資料とした。
 調査を実施した結果、加盟団体(指定都市を含む)35団体、センター協議会9施設、現・元専門委員14名、退会加盟団体内AVL11施設から広く意見を求め、53か所から回答を得た。(69.8%)

1 全視連組織体制及び事業活動のこれからの在り方に関する検討事項
(1)これからの全視連活動推進改善策について
@全視連として、新しい教育メディア導入利用支援を積極的に推進する。(30.6%)
A著作権処理等に関する組織や機能を強化する。(19.8%)
B国や地方行政との関係を明確にし、事業の質を高める。(18.0%)

〈考察〉
・全視連による調査研究、事例研究、ICT教育利用の実践紹介等についての評価。
 視聴覚教育を推進する上での、全国大会やブロック研修など情報交流の場を一層
 充実させる事への期待。
・HP等を活用するなど、電子媒体での情報提供・交流の促進。

(2)これからの全視連が努力すべき活動について
@メディア活用力を高めるための研修活動支援及び情報提供に努める。(32.3%)
A国や地方行政へ、生涯学習におけるメディア教育利用支援組織の必要性について、
 積極的な働きかけをする。(26.3%)
B関係団体等に働きかけ、連携・協力を強め、効果的な活動を推進する。(23.2%)

〈考察〉
・国を始めとする行政機関、関係団体・企業とも連携して、ICT教育利用を含む積極的な研修活動支援推進。
・国、地方行政等に働きかけ、メディア活用力を高める研修等の積極的な支援。
・関係団体・企業との連携・協力を強め、実効的な活動の推進。

(3)加盟団体の現状と全視連組 織について
@県単位組織のみでなく、市町村単位組織の参加も含めた組織体制の検討。(49.1%)
A従来の全視連に拘らず新たなシステムを考える。(34.5%)
B現組織体制を維持する。(16.4%)

〈考察〉
・加盟団体以外のネットワークを強化する意味で、市町村単位でも地域ネットワークを生かすことの検討。

2 加盟団体の運営組織の現状と課題に関する検討事項
(4)加盟団体の組織運営上の課題について

@映像教材及び機材の維持管理と利用。(23.9%)
A新しい教育メディアとその対応。(19.0%)
B地域視聴覚ライブラリーと組織体制の維持。(13.5%)
B分担金問題と事業運営。(13.5%)
D著作権処理の問題。(10.4%)

〈考察〉
・現存する映像教材のデジタル化を含めた利活用の課題、タブレットや電子メディア
 等の新たなメディア環境への対応。
・映像教材・機材の維持管理等の課題について、制作者・企業等との連携・協力による支援策の検討。

(5)デジタル化に伴う加盟団体の取組について
@まだ取り組んでいない。(61.4%)
Aアナログ映像のデジタル化を進めている。(38.6%)

〈考察〉
・著作権処理ができる郷土教材映像などのデジタル化の進展と視聴覚教材のローカル化等の事業推進。

(6)電子メディアと研修体制の現状について
@教育センター等と視聴覚ライブラリーが連携して研修を推進。(35.6%)
A必要性を認識しているが取り組む余裕がない。(24.4%)
B特に取り組んでいない。(22.2%)
C一体的な研修計画を立案している。(17.8%)

〈考察〉
・ICT利用等の研修機会の充実。
・デジタル機器の発達に伴う市民のためのタブレット端末や電子メディア等の研修機会の積極的な推進。

※(5)以外は複数回答。

■全視連ビジョン策定のため の提言
 全視連ビジョン策定のためのアンケート調査結果等を基礎的資料として検討協議を重ねた結果、ビジョン策定委員会は次のような提言を取りまとめた。

 今日、メディアのデジタル化が進み、タブレット端末等を携帯し活用する多様なメディア環境となり、伝統的視聴覚メディアの利活用を中心に活動してきた全視連は、新たな役割を担うべき立場にある事が明らかになってきた。

従って、全視連は、社会的・教育的立場や役割を明確にし、時代に即応したメディア教育の活性化を図るため下記のような改善策を提言する。

提言1:全視連の組織体制等についての検討事項について
◎全視連の組織上の存在意義を改善し明確化する。
(1)基本的な考え方

 生涯学習におけるメディア利活用支援団体としての存在意義を明確にし、教育機関として、多様な映像メディアの利活用推進体制を確立する。

(2)具体的な改善策
@全国大会における生涯学習部門の主催を継続する。
・大会等を通じ、生涯学習メディア利活用支援団体としての存在意義を鮮明にする。
Aブロック研修機会の拡充を図る。
・生涯学習に重点を置いたICT利用やメディア研修の推進。
・地方自治体のメディア研修を支援する。
・企業等との連携・協力を積極的に推進する。
B専門委員会活動の効率化を図る。
・ネットワーク化とブロック主体で展開する。
・地方の主体性を生かした組織と事業推進を図る。
C映像コンテンツの制作・蓄積・配信事業への着目と計画を支援する。
・デジタル化への積極的支援をする。

提言2:全視連の事業活動等についての検討事項について
◎生涯学習関係メディア団体 との連携を強化する。
(1)基本的な考え方

 生涯学習関連のメディア団体それぞれのメリットに配慮して、地方研修の共催機会の設定を図る。

(2)具体的な改善策
@「教育メディア利用推進会議」の一層の推進と連携の強化を図る。
AICT利用等の今日的課題に即した研修機会を共催。
B映像企業各社との著作権問題協議会の定期的開催。
C全視連に著作権処理のための相談窓口を創設する。
D講師派遣等の改善・拡充。
・ブロック別研修等を含め講師派遣の拡充を図る。
・関連団体との連携を強化。
E情報提供、発信の改善。
・将来的に、公的SNS等の積極的活用を試みる。
・全視連及び参加団体、施設間の情報ネットワークを構築する。

提言3:全視連加盟団体の運営組織等に関する検討事項について
◎視聴覚ライブラリーの体質改善の必要性理解と具体的支援をする。
(1)基本的な考え方

 都道府県所管課担当者及び団体関係者による、エリア内視聴覚ライブラリーの体質改善策と実現のための手立てや支援を行う。

(2)具体的な改善策
・単位視聴覚ライブラリーの組織運営等に関する支援機会の拡充を図る。従来の加盟団体と新たなグループの2部制も検討する。(例:都道府県部会と市町村部会)
・組織間ネットワークの新たな構築をめざす。(例:将来的に、公的SNS等を活用したネットワーク化を試みる。)
・動画配信等の収入源確保を視野に、専門家を交えて可能性を探る。

◆平成24年度 全視連講師派遣事業事業実施報告/千葉県視聴覚ライブラリー連絡協議会

 各加盟団体が例年実施する研究会・研修会に対して“全視連指導協力者会議≠フ学識経験者の中から、要請に応じて講師の派遣やその謝金を支援する標記事業には、今年度4か所(岩手県、盛岡市、新潟県、千葉県)より申請があった。今号では千葉県で開催の報告を紹介する。

平成24年度 千葉県視聴覚教育メディア研究大会

■期日  平成25年1月24日(木)

■会場  千葉県総合教育センターメディア教育棟 大ホール

■参加者
 千葉県視聴覚ライブラリー連絡協議会、視聴覚教育連絡協議会(幼児視聴覚教育研究会・視聴覚教育研究会・高等学校教育研究会)、社会教育関係団体、各小中学職員・幼稚園職員・保育所職員・こども園職員・地域住民 等 101名参加

■講演テーマ
 「誰もが映像作家時代のライブラリーの活動を考える」
 −視聴覚ライブラリーの新しいネットワークづくり−

■講師
 全国視聴覚教育連盟副専門 委員長 村上 長彦 氏

■内容
1.視聴覚教育とは
 視覚や聴覚に直接訴えかけることで教育効果を高めることをねらった教育手法である。(映像・印刷・音声・教具)

2.視聴覚教材の課題を考える上での前提
 視聴覚教育は内容ではなく手法であり、情報伝達技術の変遷による影響を免れ得ない。また技術には寿命があり、その規格の寿命はどんどん短くなっている。(スライド、16ミリ、ビデオテープ、DVD)

3.視聴覚教材機材の宿命とライブラリーの課題
 作品の流通には媒体が不可欠であるが、パッケージの所有権はあってもコンテンツそのものに関しては利用権しかない。16ミリはフィルムの劣化とともに映写機の延命策を図らなければならない。また、コンテンツのデジタル化を行えるのは制作者のみで購入者にはできないことから、スライド、16ミリ、ビデオテープや今後の媒体を含めて寿命への対応が必要である。

4.誰もが映像作家の時代
 デジタル機器の発達により撮影・編集が誰でも手軽にできるようになってきた。また、制作した映像を発表する手段も情報通信技術の発達により多種多様な方法が生まれている。動画共有サイトの利用がごく当たり前のこととなっている。従って、手法機材による制約がなくなったことから、映像の日常化に対応することが必須の時代となった。

5.今後の視聴覚教育の方向性
@16ミリを文化資産と位置づける(目標年数を決めて対応)
A視聴覚教材のローカル化(地域教材、見ることそのものが学習)
B人が介在する視聴覚教育を目指す(共有する良さを伝える)

■その他
 今回は、「誰もが映像作家時代のライブラリーの活動を考える」のご講演をいただきました。
 本県のライブラリーでも参加団体の減少が大きな問題となっており、今後の課題を含め示唆に富んだお話で、ライブラリーの運営実務者として新たな方向性を見いだすきっかけになると思います。
 様々な視点から今後のライブラリー運営を見直していきたいと考えます。

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