視聴覚教育時報 平成26年4月号(通巻684号)

私のことば/ふるさとを愛する子どもを育てる

出口 寿久(文部科学省初等中等教育局参事官付学校運営支援企画官)

 先日、 「ふるさとがえり」 という映画を見る機会があった。公開から3年が過ぎ、全国各地で行われている上映会の回数も1000回を超えているので多くの皆さんがすでにご覧になっていると思うが、私は機会がなく、初めて視聴させていただいた。これまで映画やテレビを見て涙を流すことのなかった私が初めて泣いてしまった。見ている間に主人公と自分とを重ね合わせ、これまでの人生を振り返るとともに、いろんな人の顔を思い浮かべ、これから自分に何ができるかと自問自答をしていた。こんなに心に響いた映画は久しぶりであった。

 全国各地で少子高齢化が進み、特に過疎地域では持続可能な地域づくりが大きな課題となり、多くの若者が大学卒業後生まれ育ったふるさとに戻らないことも高齢化率を高める要因となっている。 「若者がなぜふるさとにもどらないか?」 の問いに多くの人が 「田舎には勤める場所がない。」 と答える。サラリーマンとして働く場所がないというのである。しかし田舎で生活をするための仕事はサラリーマンだけであろうか。田舎には大事な農林水産業があり、また地場産業もあり、起業して懸命に生きている人もいる。若者が職業を選ぶ時の判断材料は、まず自らが見たこと、聞いたこと、体験したことだと思われる。そう仮定すると、子供たちがそれぞれの地域でやりがいを持って前向きに取り組んでいる人と関わることにより、その職業に就いてみたいと思い、ふるさとを愛している人の思いを聞くことにより、ふるさとが好きになるのではないだろうか。そのような場をどう作っていくかが、ふるさとに戻る若者を育てることになるのではと考える。

 2006年度から 「公民館」 の活性化、2007年度に 「学校支援地域本部事業」 の制度設計、昨年から 「コミュニティ・スクール」 の広報普及等と継続して文部科学省の 「地域におけるコミュニティづくり」 の施策に関わっている私の一貫した目標は 「子供たちの健全育成を核にした地域づくり」 である。小・中学校に通う子供たちは20年後、30年後のそれぞれの地域を担う存在だからこそ、その子供たちの教育を見守る責任が地域住民にはあるはずである。ふるさとを愛する子どもを育てるためには、地域住民がこういう子供に育てたいという思いを一つにし、それぞれができることに取り組む、その姿を子供たちがあこがれの存在としてみる、そんな地域づくりが今求められていると 「ふるさとがえり」 を見て改めて認識することができた。

第1回全視連常任理事会開催
平成26年度全視連事業計画案を承認-第1回文書理事会へ提出-

 去る4月14日、一般財団法人日本視聴覚教育協会会議室において平成26年度第1回常任理事会が開催されました。

 会議では、平成26年度事業計画案・予算案等の審議が行われ原案を承認、第1回文書理事会へ提出する事になりました。

 以下、事業計画案の概要を抜粋して掲載いたします。

1.基本方針について

 生涯学習の充実を図るために、情報化社会に対応した教育メディア環境の整備やその活用を推進することの社会的・教育的意義を再確認し、情報通信、放送等と融合した新たな教育メディア利用の普及に努める。そのため、各都道府県視聴覚教育連絡協議会等との連携協力体制を確立し、地域における教育メディア関連施設活動の活性化を支援する。

2.事業計画

(1) 会議

①理事会

*第1回文書理事会4月下旬

・平成25年度事業報告書案、同収支決算報告書案、同会計監査の報告

・平成26年度事業計画書案、同収支予算書案等の審議・承認

・新役員の審議・承認

*第2回理事会11月21日(金)(全国大会1日目:東京都足立区ギャラクシティ)

・平成26年度事業並び予算執行状況及び平成27年度重点事業概要の審議

・その他

②常任理事会

*第1回常任理事会4月14日(月)日本視聴覚教育協会会議室

・平成25年度事業報告書案、同収支決算書案の審議

・平成26年度事業計画書案、同収支予算書案の審議

・役員改選の審議

*第2回常任理事会11月上旬

・平成26年度事業並び収支予算執行状況及び平成27年度重点事業概要の審議

③専門委員会

 全国をブロック別に分け、専門委員を委嘱し、主としてブロックの情報交流や拠点における研究・研修事業を推進する。また、全国大会における全視連関係分科会での指導助言・運営・記録等の協力体制を継続する。

④教育メディア利用推進会議

 社会教育及び教育メディア関係団体との連携により、生涯学習における教育メディア利用を推進するための方策及び活動について広く協議を行う。

・構成団体

 日本視聴覚教具連合会、民間放送教育協会、映像文化製作者連盟、日本図書館協会、日本視聴覚教育協会等

・期日、会場 未定

・協議事項

 教育メディア利用について、関係団体間での協力態勢や研修協力など、現状と課題について協議する。

⑤著作権処理のための協議会 の開催

 市販映像教材の著作権処理に関する、事務処理及び権利者との連絡調整、視聴覚教育関連施設からの相談等に対応する第3者を含めた協議会を設置し、定期的に開催する。

(2) 実施事業

①平成26年度視聴覚教育・放送教育合同全国大会の開催

 平成26年度視聴覚教育・放送教育合同全国大会を開催するに当たり、大会における生涯学習部門の充実を図り、「ネットワーク社会におけるメディアとヒューマンコミュニケーション」の主題のもとに、「メディア研修の充実と新たなメディア利用の可能性」及び「新たな学習機会の在り方やネット環境の活用」の2本柱により全視連分科会の充実を図る。

・期日:11月21日(金)・22日(土)

・会場:(21日):ギャラクシティ(東京都足立区こども未来創造館) (22日):国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)

*テーマ別研究交流(21日)「デジタル時代に対応した生涯学習メディアの活用」

・内容:デジタル時代に対応した生涯学習メディアの利用の実際と魅力的な地域の学びの在り方等について研究協議を行う。

・報告:富山県、篠山市などのICT活用事例(一部交渉中)

*団体別研究(22日)

 第1分科会「メディア研修の充実と新たなメディア利用の可能性」

・内容:情報社会の進展に伴うICT利用の好事例紹介や、これからのメディア研修の方向性について研究協議をする。

・発表:千葉県、埼玉県春日部市などのICT利用好事例(一部交渉中)

*第2分科会「新たな学習機会の在り方やネット環境の活用」

・内容:ICT社会に対応した新たな学習機会の充実や、ネット環境を活用した施設及び組織間の協働体制について研究協議する。

・発表:栃木県、東京都足立区などの実践的事例の紹介(一部交渉中)

②全国視聴覚教育連盟視聴覚教育功労者の表彰

 平成10年度より実施しているこの表彰制度については、26年度は第17回表彰として実施するが、推薦実績のない府県・政令指定都市については、強力に推薦を働きかける。

表彰は全国大会2日目の合同全体会の中で行う。

③平成26年度ブロック別メディア研修会の開催

 加盟団体間の交流機会や研修会を充実させるため、各加盟団体が実施している研修事業等を支援する。また、被災県の視聴覚センター・ライブラリーが実施する研究会・研修会等の支援を行う。

・中四国ブロックメディア研修会の開催(予定)

④調査研究事業Ⅰ〜Ⅲ

Ⅰ「メディア活用研修モデル事例調査/組織間ネットワークシステム構築」(継)

 全視連創立60周年記念事業として実施した、ICT社会に対応した生涯学習におけるメディア活用のための研修モデル事例集の作成及び、全視連加盟団体及び公立視聴覚センター等教育メディア関連組織間ネットワークシステムの構築を継続して検討する。

Ⅱ「地域視聴覚ライブラリー機能改善に関する研究」(新)

 ICT社会に対応した地域視聴覚ライブラリーの望ましい機能や環境整備について研究し、とりまとめる。

Ⅲ「新教育映像利用に関する調査研究事業」(継)

 生涯学習に役立つ市販映像教材として、どのような作品が必要か、利用者が求める市販映像教材についての調査研究を行う。

⑤講師派遣事業の実施(拡充)

 各加盟団体が実施している研究会・研修会を一層有意義なものにするため、全視連が組織する“全視連指導協力者会議”の学識経験者の他、要請に応じて講師の派遣を行う。

⑥全視連企画教材の頒布

 全視連が、これまで「子どもゆめ基金助成事業」において開発してきた左記6作品を、ホームページや「視聴覚教育時報」等で広報し、実費にて頒布する。

・今までの開発教材

「みんなでおどろう!レッツヒップホップ」(平成19年度)、「元気に遊ぼう!リズムでゲーム」(平成20年度)、「みんなでおどろう!ヨサポップ」(平成21年度)、「みんなに元気をあげよう!チアロビクス」(平成22年度)、「みんなが主役!人形劇で遊んじゃおう」(平成23年度)、「ボディスラップ おもしろリズムをつくろう!」(平成25年度)

(3) 共催事業

①生涯学習メディア利用研究会

 社会教育及び教育メディア関係団体等と連携し、各種行事等に参加するなど、生涯学習における教育メディア利用に関する協力体制を推進し、研修・研究会を実施する。

概要:未定

②全国自作視聴覚教材コンクール

 (一財)日本視聴覚教育協会主催、全国視聴覚教育連盟、日本学校視聴覚教育連盟、全国高等学校メディア教育研究協議会の共催で実施する。

 部門及び参加作品は、幼・小学校、中学校、高等学校、社会教育の4部門対象の、ビデオ、コンピュータソフトウェア、紙しばい等の自作視聴覚教材で、そのうちの社会教育部門の審査に協力する。

③一般財団法人日本視聴覚教育協会事業への協力

(4) 年間刊行物

・調査研究事業Ⅰ「全視連創立60周年記念研究集録-メディア活用研修モデル事例調査/組織間ネットワークシステム構築-」(WEB版)

・調査研究事業Ⅱ「地域視聴覚ライブラリー機能改善に関する研究」(WEB版)

・調査研究事業Ⅲ「新教育映像に関する調査研究事業報告」(WEB版)

・「全国公立視聴覚センター要覧」(日本視聴覚教育協会と共同製作)

・「公立視聴覚センター研究集録2014」(公立視聴覚センター連絡協議会)(WEB版)

(5) 広報活動

「視聴覚教育時報」(隔月刊)の発行

 隔月発行を継続し、メールマガジン、Webサイト等とのリンクにより、情報発信及び交流の効率化を図る。

「メールマガジン」の発刊(月刊)

「ホームページ」(全視連だより)(ブログ全視連)の改善

 http://www.zenshi.jp/

 印刷物による広報活動のほか、ネットメディアによる情報発信活動を並行して行う。

(6) 事務委託

全国公立視聴覚センター連絡協議会関係

 公立視聴覚センター並びに公立視聴覚センター相当の視聴覚ライブラリーで構成する全国公立視聴覚センター連絡協議会の総会及び研究協議を行う。

・平成26年度視聴覚教育・放送教育合同全国大会(平成26年11月21日・22日開催)

・公立視聴覚センター協議会総会の開催(平成26年11月21日開催)

募集要項 平成26年度 全国自作視聴覚教材コンクール
主催 一般財団法人日本視聴覚教育協会

共催 日本学校視聴覚教育連盟/全国高等学校メディア教育研究協議会/全国視聴覚教育連盟

後援 文部科学省

趣旨

 一般財団法人日本視聴覚教育協会主催、全国視聴覚教育連盟他共催による標記コンクールは、その制作技法の優劣のみを問うのではなく、なぜ、その教材が必要とされるのか、具体的な利用方法まで含めて審査することを目的としている。そうすることで、学習の場で実際に役立ち、他の学校や地域等での自作教材の企画制作・活用にも役立つ視聴覚教材の自作活動を促進し、顕彰を通して、その制作奨励と内容の充実に寄与することを目指す。

部門

1.小学校部門(幼稚園及び 保育所を含む)

2.中学校部門

3.高等学校部門

4.社会教育部門

応募資格

 以下に掲げる個人または団体とする。

1.学校教職員、指導主事、教員養成大学・学部・大学院に在籍する学生、または教職課程履修の学生

2.社会教育主事、公民館主事、視聴覚センター・ライブラリー等の職員

3.その他(ただし、視聴覚教材を制作することを職業とする個人または団体は除く)

募集作品

 上記、応募資格を有する者が企画し、制作した以下のような作品とする(ただし、すでに同様の全国対象のコンクールで入賞した作品は除く)。

1.ある教科・領域の単元、学習課題を学習したり、その学習を支援したりするための視聴覚教材。

2.原則として、学校(幼稚園・保育所)・生涯学習施設等で実際に使用したもの。

3.ビデオ、コンピュータソフトウェア、紙しばい等(教材の長さ及び量については、記述された教材等の制作意図及び活用の目的等に適したものであれば、特に制限なし)。

4.制作に係る予算・スタッフ編成等について、自作とは認められないものについては、審査委員会において応募をお断りする場合がある。

各賞

○文部科学大臣賞(最優秀賞)部門1〜4 各1点

○優秀賞 部門1〜4 8点

○入選 部門1〜4 20点以内

応募締切

平成26年6月13日(金)当日消印有効

入賞発表

平成26年8月下旬(月刊『視聴覚教育』9月号上で発表)

表彰式・発表会

平成26年9月12日(金)東海大学校友会館(東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビル35階)

応募・問い合わせ先

 作品は、持参または郵送・宅配便で、下記に応募すること。

〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-19-5 虎ノ門1丁目森ビル 

一般財団法人日本視聴覚教育協会内「全国自作視聴覚教材コンクール審査委員会」宛

TEL:03-3591-2186/FAX:03-3597-0564/MAIL:jisaku@javea.or.jp

応募方法

○応募様式に従い、必要事項を記入し提出すること。

○作品には、必ず、添付資料〈(1)制作意図 ①制作にあたって留意した点、②作品の特色、③制作日数及び制作費(概算)と、(2)使用方法 ①対象、②利用の方法等について、2,000字以内にまとめたもの〉を2部ずつ添付すること。

○学校教育部門へ応募する作品には活用指導例(指導案2,000字以内)を2部ずつ添付すること。

○次の(1)(2)のメディアで応募する場合には、それぞれ左に記した丸番号の資料を2部ずつ添付すること。

(1)DVD・CD等

①教材の構造や再生環境等を示す解説書

(2)紙しばい

①台本 ②録音物等※

※演示が複雑な場合、台本の録音物ではなく、演示を録画したビデオを添付すること。

平成26年度 視聴覚教育・放送教育合同全国大会の開催

「第18回視聴覚教育総合全国大会・第65回放送教育研究会全国大会」合同大会の第1次案内が公開されました。(外部サイトにジャンプします)

えすけーぷ

◇“このたび人事異動により”とメールが届く-。

 専門委員の半数が異動。

 思い起こせば、百人を超える方々のご協力を頂いてきた。意外な所で、“あの節はお世話に-”と、**校長の肩書のついた名刺を頂き“あ!**さん”と、思い出す時は嬉しい。

 かつて新採の元部下だった方が某市の要職に、教え子の某氏が校長に-と嬉しい知らせの反面、地道に頑張っていた元部下から定年退職の挨拶状が届く。

 長い間ご苦労様!!(M)